【戦国ジャズ】大樹の念慮 [徳川家康]
戦国ジャズ再興後、記念すべき一作目となる、
徳川家康さまへ向けた戦国ジャズ。
家康公が身罷るときの風情を描いた、レクイエム調の曲にござる。
光に満ちた夕焼けが目に浮かぶようにあり、その画を採用した書き出し。
天下人として、悔いのない振舞いをしてののちのご逝去、
そうあったように、先ずは記し。
厭離穢土欣求浄土、は、著名な家康公の旗印にござるな。
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儂が拙い語り口など凌駕する、素晴らしき語り草にござれば。
重き荷と長き道、は、家康公の遺訓とされているものより。
彼のお方の人生を象徴するようなお言葉ですな。
天下を狙う程の人物、しかも、あんなにも荒廃した時代の。
そう思うた時に、人には言いようもない辛苦があったように思われ申した。
天に帰すように、という表現は、死後、神になられたことを由縁としたもの。
様々な問題こそあれ、265年も、大過なき世を作り上げたお方の、
民草への想い。並々ならぬものであったように思われた由。
そして何より、走馬灯のように蘇ったであろう、
岡崎時代より先立たれ続けた、股肱の臣らの死に顔。
幼き頃よりの苦労を想わば、死に際しての痛みなど、という気概。
微睡みながら、失せていくような痛覚。その両方を描き。
漸く仕事を終え、身罷れるわ、という、深き安堵。
そのような仕儀にて描き上げ奉り候。
大樹の念慮 詩・曲 柏木白泥
時は漂う夕暮れ
世には光満ちるか
遺すべきものを預けて
ただ諭すように逝く
厭離穢土と一つ唱え
太平の城下へ目をやる
つまびらかに吐露をすれば
重き荷と長き道であったな
語られざる辛苦は
永久に収めし想い
天に帰す魂
永久に続けよ願い
幸せに満ち足りた
日々を過ごせようかと
欣求浄土と一つ唱え
遠き三河の者らを想う
葵の大樹に寄り添うた
数多の亡骸に流す雫
苦悩たる若き日
今は微睡む痛み
離るるは浮世と
今と生きにし遺訓
東海一の誇り
民をば願う眠り