戦国ジャズ、曲紹介の儀。

戦国ジャズの詩曲解説ブログになります。

【戦国ジャズ】その我執は影となり [長寿院盛淳]

sengoku-jazz.bandcamp.com

 

 

お久しぶりです、ご無沙汰しておりました。

戦国ジャズ、久々のブログ更新です。

 

三月末に、デジタルリリースをしました。

タイトルは、島津の退き口。

島津四将に加え、井伊直政さまと徳川家康さま。

もうお聴きいただけたでしょうか。

 

本作を作るにあたり、

新曲を書き下ろしました。長寿院盛淳さまへ贈る、セカンド・ライン。

 

その我執は影となり、というタイトルですが、

なぜ我執、などとつけたか、は但し書きが必要かな、と思いました。

 

戦国時代の、特に島津のお方について、

歴史小説などでの印象から、だと思うのですが、

どうしても、殿様を上げるために自分を落とす、という文化がある気がしていて、

気のいい武者様ほどそれをやられるなあ、という、

作者、柏木の長寿院さまへの熱い想いがそう記させました。

 

我執だ、と言うことで、

殿様にかかる火の粉があれば自分が背負う。

それでいて、進言の功は殿様に贈る。

そんな、武士の弁えみたいなものを感じていただけたら、幸いです。

 

中馬さまのとはまた違う、激しさの中にも涼やかさのある曲を、

と、思ったのですが、そこまで爽やかでもないですかね。

どうでしょうか。

覚悟はとてもよく伝わる作品になったとの自負があります。

 

長久たる寿ぎよ、島津とともにあれ。

この段を唄うときは、本当に目いっぱいの気合が入る、

薩摩兵児の子孫たるわが身が、少し誇らしく思えるように、なりました。

 

その我執は影となり 作詞・作曲 柏木白泥
 
根来寺での修行も終えて
木食上人よりも習い
僧としての道を突き詰めんと
薩摩へ帰り住持となりて
 
仏縁のままにと
日々を重ね過ごす
斯様な暮らしを終える頃
悟りに及んでいようか
 
不可思議たるかはたまた必然か
その出家は還俗する期を得る
島津に仕え奏者を務むる
九州を統べる戦いに多くを果たす
 
武家として要なる
振る舞いを身につけるは
後の大いくさ
その折の役割を既に知るかのよう
 
長久たる寿ぎよ島津と共に在れ
我が身への願いなら仏門へ捧げた
大なる意志を御家に捧ぐは
天下のためまた万民を想うてか
 
たとい今また薩摩が小さくとも
やがて時を得て和の世を導けよう
漢惚れしたる大将が器量
其れのみを信じ命を布石とした
 
主人が名を高らかに名乗り
借り受けた陣羽織を堂々と誇り
潔きていでいざ我が身を終えん
退きゆく鬼をこの身で助けん
 
島津に必要な御方を逃したい
我儘として影武者と朽ちるわ